音について知識を得る
防音工事とは
防音工事とはどのような理論に基づいて施工されているのか、そのご説明です。防音工事の3つの要素
よく見落とされがちなのは、一般的に言われる「防音工事」の中には「防音」「遮音」「吸音」という要素が存在するという事です。1.防音
外から干渉してくる音を低減する作業2.遮音
中の音を外部に漏れないようにする作業3.吸音
音を反射させずに止めてしまう作業ですが、防音と遮音はプロセスとしては同様なのでほぼ同義に捉えて構いません。しかし吸音は全く別物で、音の響きをコントロールする上で非常に重要な作業であり、
また用途を踏まえた上での緻密なバランス計算が必要なものです。
これは音楽的な用途にも限らず言える事です。
生活空間でも音響特性はメンタル面に無意識的に働きかけます。
音響に特に関心がない方でも環境として良いに越した事はありません。
家の回りの騒音でイライラする事を逆説的に考えてみるとそれは明白です。
基本の基本、音の種類
まず音の集類は大きく分けて二種類あると考えられています。一つは空気音、そしてもう一つは固体音です。
音というのは振動により伝わりますが、その伝わり方の違いが二通りあるということなのです。
住まいの中に存在する音はほとんどの場合それらが混在している物なのです。
それぞれの性格を理解することで防音対策の方法も、またどんな防音をしたいのかも決まってきます。
空気音(空気伝搬音)
空気振動により伝わる音を空気音といいます。飛行機の騒音がその代表と言っても過言ではありませんが、そのほかに車のエンジン、クラクション又は人の話し声、
ピアノ等の楽器類、そしてスピーカーから出る音全般が空気音となります。強風の時の電線の風切り音も同じと言えます。
固体音(固体伝搬音)
床、壁、天井だけではなく、住宅を形作っている構造体全てを伝わってくるのが固体音です。2階の飛びはね音であったり、床に物を落とした衝撃音、ドアを閉めたときの音、トイレや台所の排水の音もそうですが、
道路を走る車の振動、特に飛行機の離着陸時の騒音は空気音から固体音に伝達された、もっともやっかいな音と言えるでしょう。
音楽スタジオ及び防音室内での最適な残響時間
残響時間とは、お部屋の中に音が満たされた状態から壁床天井や家具などによって吸収されて音のエネルギーが百万分の一に減衰するまでの時間を言います。
(残響時間は部屋の使用目的、部屋の大きさ等によっても適する値が変わってきます。)
それが最適残響時間と呼ばれる値です。
コンサート用の大ホールでは残響時間が2秒を超える場合もありますが、
ピアノスタジオや防音室の様な小さな部屋では短い残響時間の方が好ましいでしょう。
小さな部屋で響きを長くすると音が大きくなり過ぎて、特にピアノの様な音量の大きな楽器では不向きとなります。
参照のグラフではスタジオや防音室に適した残響時間と部屋の容積の環境を表しており、
住宅の音楽室として4.5~10畳のポイントも表しています。
楽器の最適な吸音率
ピアノの場合は音域や周波数帯域が広いので0.23~0.34の間が良くボーカル(歌)はできるだけ吸音率0.16~0.23くらいに設定しないと歌いにくく疲れます。
また響いて欲しい楽器(管楽器)の場合は0.2~0.29、
響きを抑えたい場合(パーカッション類)の場合は0.25~0.36くらいが好ましいとされています。